007v-labo
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いわずと知れた007映画の最高傑作とも言われる作品である。原作では純粋に英国情報部とソビエト情報
部の対決となる内容だったが、時代の推移等を鑑みて陰謀の首謀は国際犯罪組織スペクターとなり、映画 化第一作の「ドクター・ノオ」とのストーリーの連続性が強固となった。陰謀と知りつつ、敵の懐に入ってゆく ボンドを見ながら、既に陰謀のシナリオは知らされている観客は手に汗握るというサスペンスの王道を行っ ている。ロケ地と撮影の素晴らしさ、魅力的なキャスト、「静と動」のメリハリのある演出と相まって何度見て も楽しめる作品である。 ![]() ![]()
ワイドスクリーン版が出るまでは、レトロチックなオリジナルポスターのデザインは敬遠されたようで、このLD
では劇中派手な撃ち合いのあるジプシー・キャンプの一コマが使われている。 ![]() ![]()
スチール写真でしか見られないボンド&タチアナのシーンのイラスト化(?)をメインにしたジャケットデザイン
は、それなりに新鮮である。全体的に赤みがかった映像が特徴なLDソフト。 ![]() ![]() ![]()
特典の静止画像では原作小説の歴史やスチル写真、キャストのプロフィールやポスター、レコードジャケット等を見る
ことが出来る。映画冒頭のチェスシーンの会場の天井部分が、実はマットペンディングの合成映像であったことは、こ のLDで初めて知ることが出来た。
LDソフトはもちろん、その後のDVDにも多大な影響を与えたクライテリオンの豪華版LDの功績は大きい。ノ
ートリミングである上に出来る限りの映像のリファインが行なわれた本編は、当時では最良の画質を楽しむ ことができた。加えて、スタッフの解説音声や静止画資料映像等を楽しむことが出来た。後年リリースされ た権利元発売のDVDとはまた違った内容なので、今でもこのLDが色褪せることは無い。当時の国内の輸入 ショップでは、販売価格が実に2万円近くした文字通りの豪華版である。 ![]() ![]()
上記の豪華版から、音声特典、映像特典を除き本編のみCLV収録で発売された廉価版。同じマスター映像
であるはずなのに、ジャケットに記載された収録時間表記が違っているのが可笑しい。本家MGMホームビ デオからのノートリミング版の発売まで、もう少し待たなくてはいけなかった。 ![]() ![]()
ノートリミング版では、オリジナルのポスターデザインを初めて採用している。「コネリー・コレクション
VOLUMET」と同内容だが、映画本編前後のタイムカウントに僅かな差異が見られ、トータルの収録時間に 違いが生じている。 ![]() ![]() ![]() ![]()
国内初発売盤は、007シリーズのリリースの先陣を切っての発売であった。このジャケット写真をよくよく見
てみると、映画にはこのようなシーンは無い。クリレンコ狙撃の後、ホテルに帰ったボンドはショルダーホル スターを外してからフロントに電話をしているからである。「007は二度死ぬ」もそうだが、A面とB面に切り 替わる際に欠落したシーン(後述)がある点が何とも残念である。余談だが、初発売盤のオレンジ色の帯は 「ロシアより愛をこめて」だけであり、他の作品は銀色の地に黒文字というデザインであった。また、再発売 版の帯は各作品ごとに異なる色であるが、「ロシアより愛をこめて」の紫色は初期プレスと再プレス(消費税 表示)のものでは、色の濃さがかなり違う。 ![]() ![]() ![]() ![]()
「ドクター・ノオ」や「007は二度死ぬ」もそうだが、リバイバル時のポスター&チラシデザインをそのまま貼り
付けただけというセンスは、同時期発売の他作品のジャケットと比べ、明らかに浮いていた。加えて待望の 国内盤ワイドスクリーンにもかかわらず、音声の欠落(後述)が最も顕著なLDなのが悔やまれる。 ![]() ![]()
このLDは当時のブロスナンの最新作「トゥモロー・ネバー・ダイ」と同日発売であった。同内容のTHX版DVD
も既に発売されていて、LDの時代は終わりを告げようとしていた時期でもあった。007映画の最高傑作と 呼ばれながらも、国内のLDソフトが最良の状態で見ることが出来るのには、これほど時間がかかった上に 発売時には殆ど人目を引くこともなかったのは何とも残念なことである。
●60年代の007作品は、映像ソフトによって映像や音声に若干の欠落シーンがある場合があります。
@メインタイトルのテーマ音楽の頭が欠けている。
⇒北米盤ワイドスクリーン、国内盤ワイドスクリーン
A上記に加え、オープニングのベニスのシーンにかかる音楽の冒頭も欠けている。
⇒国内盤ワイドスクリーン
Bラストのベニスのシーンでのダニエラ・ビアンキの“What Is It?”というセリフが欠けている。
⇒国内盤ワイドスクリーン
CA面とB面の切り替えの際に映像の一部が欠落している。本来はボンドとタチアナを隠し撮りしているシー
ンがフェードアウトして、海側から映したイスタンブールの街(約2秒)に移るのだが、フェードアウト直前でA 面を終えたため、B面の始まりがタチアナが階段を登るシーンまで飛んでしまっている。完全に入っているヴ ァージョンは、A面の終わりがタチアナが階段を登るシーンまでで、B面の始まりがタチアナが寺院の入り口 に来るシーンとなっている。
⇒CBS/FOXTVサイズ、国内盤TVサイズ
Dエンディングの“THE END”の後に“NOT QUITE THE END JAMES BOND WILL RETURN ・・・
GOLDFINGER”の告知テロップが入っていない。入っていないものは、その欠落分だけ時間が余ってしま い、歌の最後の部分は黒味の映像になってしまう。
⇒TVサイズ版のLD全て及びクライテリオンワイドスクリーン
CBS/FOXTVサイズは歌がフェードアウトして、最後まで収録されていない。
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画像が飛ぶことなく、カメラが自然に遠ざかってゆく。ところで、この次回作の告知は最初から入っていたわけではな
いということなので、初公開時のプリントではどのような文言が入っていたのであろうか?
●本編が115分程度の本作品に4分弱のオリジナル予告編を入れるのは、ビデオ及び映画会社のロゴ
の表示時間、A面B面切り替えの時間配分を考えると至難の業だったようで、北米盤ワイドスクリーンでは本 編開始前に収録し、尚且つA面の収録時間が60分を超えるというギリギリの収録であった。国内盤ではや はりそこまで出来なかったのか、最初のワイドスクリーン版では「ドクター・ノオ」との2本立て予告編(約1 分)を入れるにとどまり、THX版では収録自体が見送られたようだ。
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