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黄金銃を持つ男
1974年
(初見 1975年3月 二番館にて)
CINESCAPEというアメリカの映画雑誌の1995年11月号「ゴールデンアイ」公開記念特集記事の中で、それ
までの過去の作品の評価点数が載っています。「黄金銃を持つ男」は★☆☆☆☆(★5つが満点、☆は5分
の1点)と、最低点でありました(他の同点作品は「カジノロワイヤル1967」、「美しき獲物たち」)。寸評では
「ピンクパンサーの出来の悪いシリーズ作品よりひどい」とか、「この作品でボンド映画の終わりも噂された」
と散々なものでした。そんな「黄金銃を持つ男」が私の007初体験作品だったわけで、いきなりシリーズの
「どん底」の世界に入っていたとも言えます(笑)。実際、その後に「ロシアより愛をこめて」や「ドクター・ノオ」
等の初期作品を見たときは、作品世界の雰囲気のギャップにかなり驚いたものでした^^;

しかしながら、当時中学3年生だった少年の自分には、ガンバレルのオープニングシーンや主題歌のタイト
ルバックの斬新さ、映像とたいへんマッチしたジョン・バリーの音楽の流麗さに魅了されて、大満足な気分
で映画館を後にしたものです。そうはいうものの、その後映像ソフトで何回か見直して他のシリーズ作品と
比べると、一介の殺し屋であるスカラマンガとのエネルギー装置争奪戦が何ともチグハグなストーリー展開
で説得力に欠けます。ソーラーエネルギー銃を「もうひとつの黄金銃」に仕立てているところが、苦肉の演出
なのかもしれませんね。オッドジョブのミニチュアみたいなニックナックとか、映画を彩るキャラクターや舞台
設定はまるでサーカスのような一種滑稽さで満ち溢れているのもこの作品カラーとも言えるでしょう。実際ス
カラマンガはサーカス出身という設定(原作も)なのですが、この作品でスカラマンガの愛人役だったモード・
アダムズは、13作目の「オクトパシー」でサーカス団の団長役でメインのボンドガールとして再出演している
ところが興味深いですね。

この映画での最大の見せ場が「特殊撮影無しの360度回転ジャンプのカースタント」ですが、そのシーンに
かかる「ヒュー」という効果音が観客の笑いを誘うには充分な効果を醸しだしていました。蛇足ですが、ジョ
ン・バリーは後年「イナゴの日(1976年)」のサントラでもこの「ヒュー」を再び使っていることから、本人は結
構気に入ったフレーズだったのかもしれません(笑)。多くの人が認める「不人気作」であるにも関わらず、LD
の発売数が意外と多い点が何とも妙であります。

ジェームズ・ボンドの蝋人形が出現するシーンは「上映開始から7分台」と、計算された演出のようです(笑)。
(画像は秒数が表示されないCBS/FOXのLDより)

北米盤レーザーディスク

CBS/FOX VIDEO
発売1982年頃
品番 4606-80
シングルジャケット
1枚組 CLV2面(119分)
実測時間合計(117分32秒)
テレビサイズ
アナログ音声・モノラル
LDの中では最も収録時間が短いバージョン。「黄金銃」に関してはシーンの欠落があるLDは見当たらない
ので、原因は「早回し収録」によるものです。主題歌が異様に早口に聞こえるのは致命的です。



MGM/UA HOME VIDEO
発売1990年頃
品番 ML101419
ダブルジャケット
2枚組 CLV2面、CAV1面(125分)
実測時間合計(124分31秒)
スタンダードサイズ予告編付き(0分55秒)
テレビサイズ
デジタル音声・モノラル
39.98$
007のビスタサイズの作品は、FOXの最初のLDが市場から消えてから、ノートリミング版が発売されるまで
の「繋ぎ」としてMGM/UAからニューマスター映像のテレビサイズ版が発売されました。コネリー作品は初
期3作が発売されましたが、ムーア作品は「黄金銃を持つ男」と本来なら「死ぬのは奴らだ」のはずなので
すが、何故かリリースされたのは「私を愛したスパイ」でした。そのため、「死ぬのは奴らだ」のノートリミング
版のリリースは早かったのですが、「黄金銃を持つ男」のノートリミング版のリリースは一番最後に回されて
しまいました。



MGM/UA HOME VIDEO
発売1993年頃
品番 ML102734
ダブルジャケット
2枚組 CLV2面、CAV1面(126分)
実測時間合計(124分36秒)
スタンダードサイズ予告編付き(3分15秒)
チャプター数 30箇所
ビスタサイズ
デジタル音声・モノラル
39.98$
ノートリミングのシリーズは、オリジナルのイラストジャケットデザインが多いのですが、前記のニューマスタ
ーテレビサイズ版がオリジナルジャケットデザインを使用しているためか、このLDはポスターでよく見かける
デザインになっています。またこのジャケットのみデザインの下地が黒色であるため、他のノートリミングLD
と並べると背表紙が一枚だけ黒となり、やけに目立ちます。


国内盤レーザーディスク

発売元 ワーナーパイオニア株式会社(初発売盤)
発売1986年5月25日(初発売盤)
品番 10JL-99204(初発売盤)
9800円(初発売盤)
解説書 ジャケット裏英文の翻訳(初発売盤)
ダブルジャケット
2枚組 CLV3面(120分)
実測時間合計(118分30秒)
テレビサイズ
アナログ音声・モノラル
最初に発売された国内盤は2枚組にもかかわらず、早回しによりオリジナルより6分近くも短い収録時間で
した。



ワーナーブラザース映画会社(再発売盤)
発売1988年8月25日(再発売盤)
品番 NJEL-99204(再発売盤)
解説書 宮脇孝雄(再発売盤)
4680円(再発売盤・消費税別)
シングルジャケット
1枚組 CLV2面(120分)
実測時間合計(118分30秒)
テレビサイズ
アナログ音声・モノラル CX
テレビサイズシリーズの再発売盤は、ジャケットと解説書に変更はあるものの、収録内容とディスク数は初
発売盤全く同一なのですが、この「黄金銃を持つ男」だけは例外でした。2時間以内のランニングタイムであ
ることと、「不人気作」ということで「価格を下げるため」だったのかもしれませんね。




売元 パイオニアLDC株式会社
1993年3月25日発売
品番 NJEL-52734(レンタル版 RWL-52734)
ダブルジャケット
2枚組 CLV3面(125分)
実測時間合計(124分39秒)
スタンダードサイズ予告編付き(3分13秒)
ビスタサイズ
デジタル音声・モノラル
5700円(消費税別)
この作品は日本でランニングタイムがまともな映像ソフトを見ることが出来るまでには、映画の公開から20
年近く経過しなければいけなかったわけですね^^;

※検証 フレームの違いが顕著なシーン
●「黄金銃持つ男」では、テレビサイズ収録LDの方が映っている情報量が多いシーンがあります。顕著な
のは、スカラマンガのフライング・カーのインパネとボンドが操縦する飛行艇のレーダーのシーンです。後年
発売されたDVDでは、ビスタサイズでも完全に収録されているようです。LDの全バージョンを載せてみまし
たので、ご覧下さい。

北米盤CBS/FOX

北米盤MGM/UA テレビサイズ
フライング・カーのインパネでは、左下のシガーライターまで見える。

北米盤MGM/UA ビスタサイズ

国内盤テレビサイズ初発売

国内盤テレビサイズ再発売

国内盤ビスタサイズ

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