007v-labo

ユア・アイズ・オンリー

1981年
(初見 1981年 ロードショーにて)

増淵健氏の著書「娯楽映画大百科(1975年刊)」の記述に、「スパイ映画が舞台を宇宙に移すと、シリーズ
が終息に向かう」旨の記述があり、具体的に「電撃フリントシリーズ」は2作目で宇宙ロケットに絡む事件を
描いて終了、「マット・ヘルムシリーズ」は3作目で空飛ぶ円盤を登場させ4作目で終わった例を上げていま
した。007シリーズは宇宙ロケットの出る「二度死ぬ」の次回作「女王陛下」、そしレーザー衛星兵器の出る
「ダイヤモンドは永遠に」の次回作「死ぬのは奴らだ」で、それぞれ新兵器やギミック等を極力抑えた現実的
なアクションを描いて切り抜けてきたのですが、「ムーンレイカー」の後のこの「ユア・アイズ・オンリー」もそ
の一本となるでしょう。007シリーズが他のスパイアクション映画と違い今日まで続いているのは、マイナー
チェンジが必ず成功している点であり、その流れの最たるものが「ダイ・アナザー・デイ」の次の「カジノ・ロワ
イヤル(2006年)」であったのですが、「ダイ・アナザー・デイ」はそれを狙ってああいう作品になったのかと
考えたものでした(笑)。

さて、このユア・アイズ・オンリーでありますが、何より驚いたのは短編小説原作の細かい点を上手く利用し
たストーリーであり、また「死ぬのは奴らだ」の映画では描かれなかったボートによる海中引き回しシーンを
再現したところには劇場で見て唸ったものでした。あと、ボンドがロックの車を崖から蹴り落とすシーンでは
それまでのムーア・ボンドのキャラクターを覆すほどのインパクトがありました。

ビル・コンティの音楽は映画の前半ではややコミカルなアクションが続いているシーンにおいては、彼の持ち
味である「ロッキー」的な快活な音楽が前面に押し出されていて、バリーの007音楽とはかなり違うものを
感じましたが、映画の後半でボンドがコロンボと出会うシーンあたりからはシリアスな描写が多くなるにつ
れ、サスペンスフルで重厚なスコアを聞くことができ、中々健闘していたと感じました。

北米盤レーザーディスク

CBS/FOX VIDEO
発売1982年頃
品番 4568-80
シングルジャケット
2枚組 CLV3面(128分)
実測時間合計(127分04秒)
テレビサイズ
アナログ音声・ステレオ
北米盤の初期発売LDとして当時の最新作であったので、当然プリントの状態も良好でありました。当時普
及され始めたドルビーサラウンドデコーダーで、冒頭のヘリコプターアクションのサラウンド音声をを楽しまれ
た方も多いのではないでしょうか?

SIDE1とSIDE2の場面切り替え場所が適切でないと思われ、SIDE2冒頭の音楽が切れていたり、エンディン
グの主題歌のフェードアウトも途中で切れていたりと、収録の仕方にもうすこし配慮が欲しかったです。



MGM/UA HOME VIDEO
発売1990年頃
品番 ML101725
ダブルジャケット
2枚組 CLV2面、CAV1面(127分)
実測時間合計(127分22秒)
ビスタサイズ予告編付き(3分40秒)
シネマスコープサイズ
デジタル音声・ステレオ
ドルビーサラウンド
39.98$
SIDE3が画質的に有利なCAV収録がされている場合、クライマックスシーンを出来る限り多めに収録(概ね
20分以上)される配慮がされているのが北米盤の特徴であり、美点でもあります。


国内盤レーザーディスク

発売元 ワーナーパイオニア株式会社(初発売盤)
発売1985年6月25日(初発売盤)
品番 10JL-99247(初発売盤)
9800円(初発売盤)
解説書 ジャケット裏英文の翻訳(初発売盤)


ワーナーブラザース映画会社(再発売盤)
発売1988年10月25日(再発売盤)
品番 NJEL-992247(再発売盤)
解説書 山根祥敬(再発売盤)
6570円(再発売盤・消費税別)

ダブルジャケット
2枚組 CLV3面(128分)
実測時間合計(127分13秒)
テレビサイズ
アナログ音声・ステレオ
ドルビーサラウンド(再発盤のみ表記)
このLDのみ、エンディングにPGの表記が収録されています。




販売元 パイオニアLDC株式会社
1993年3月25日発売
品番 NJEL-52737(レンタル版 RWL-52737)
ダブルジャケット
2枚組 CLV3面(128分)
実測時間合計(127分30秒)
ビスタサイズ予告編付き(3分41秒)
シネスコサイズ
デジタル音声・ステレオ
ドルビーサラウンド
5700円(消費税別)
LDのジャケットデザインは、写真にしてもイラストにしても、ボウガンを持つ女性の股下越しに銃を構えるボ
ンドというアートがつらぬかれていて、こうやって並べてみると壮観だったりします(笑)。

※検証 ナイトシーンについて 
●映画のナイト(夜間)シーンで、実際は昼間に撮影されたものにフィルター等の効果をかけて夜間に見せ
ている例はたくさんあり、007映画でもいくつか見られるが、この「ユア・アイズ・オンリー」でボンドとコロン
ボ一派がクリスタトスの港のアジトを急襲するシーンの設定は夜明け近い夜間で、ボンドが石段を登ってロ
ックを崖まで追い詰めるあたりが夜明け手前という時間の流れのようである。しかしながら、映像ソフトによ
ってそのシーンの明るさにはかなり違いがある。以下、LDソフトとDVDの違いを検証してみた。

☆LDの場合はすべて、ロックの車が時計塔を通り過ぎるあたりから、撮影された日中そのままの明るさである。
☆2000年に発売された「特別編DVD」では、多少は明るさは抑えられているようだが、ほとんど日中と変わらない明
るさである。
☆2006年に発売された「アルティメットDVD」では、かなり濃いフィルター処理がされてあり、「夜明け前」という本来
意図された明るさになっているが、今までの映像ソフトに見慣れた目で見ると、落下した車から放り出されるロックが
良く見えなかったりして、かなり見づらかったりする。


トップへ
トップへ
戻る
戻る


007v-labo